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方向統計学に基づく信号マッチング技術の開発

信号マッチング技術は、2つの信号の類似性を評価するための技術であり、生体認証やパターン認識、通信技術、周期性をもつDNA 配列の探索など、幅広い分野に応用されています。この信号マッチングに広く用いられているのが位相限定相関(Phase-Only Correlation: POC)関数です。POC関数は、図1に示されるように、2つの信号(画像など)が類似していれば鋭いピークをもつことが経験的に知られており、このPOC関数の性質を用いた信号マッチング技術が従来から広く用いられてきました。

我々のグループでは、方向統計学の概念に基づき、POC関数の統計的性質を理論的に解明することを目指しています。方向統計学とは、風向きや渡り鳥の飛び立つ方角、ルーレットの止まる位置、アンテナの指向性、時刻ごとの交通事故の発生件数など、角度で表すことのできるデータを扱う統計学です。図2は、角度データの例として、ある病院に搬送された時刻ごとの患者数を表しています。一般的な統計学では、図2(a)のような線形ヒストグラムで度数分布を表しますが、実際には0時と24時は同じ時刻であり、線形ヒストグラムの左端と右端は循環してつながっているため、このような統計量は図2(b)のような円周ヒストグラムで表す方が適しています。時刻に依存する量だけでなく、風向きなど方角に依存する量もまた、同様に円周ヒストグラムで表わすことができます。

この方向統計学の考え方を、我々のグループはPOC関数の理論解析における信号の位相スペクトルの確率分布を記述することに応用しています。もともと、方向統計学は気象学や生物学、天文学などに応用されてきた分野ですが、この考え方を信号処理理論にとりこむことにより、これまでとは異なる視点からPOC関数の理論解析を行うことができ、異なる学問分野との融合によって斬新かつ独創的な理論を開発することをめざしています。

Fig1.png
図1: POC関数を用いた画像マッチング
Fig2a.png
(a) 線形ヒストグラム
Fig2b.png
(b) 円周ヒストグラム
図2: 円周データの例 ある病院に搬送された時刻毎の患者数
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Last-modified: 2018-03-06 (火) 01:19:10 (588d)